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The Recommendation from 寅壱 #11 小川 佑太 (Grack)

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2023年の寅壱BEERの配布と鳶カタログの制作以来、寅壱のグラフィックを多く手がけるデザイナーがいる。今回はそのデザイナーである小川佑太氏をクローズアップ。小川氏のもつ「和モダン」のセンスと「デジタル」での表現にとどまらない、ゲーミングの領域や制作における考えを聞いてみた。

インタビュワー:自己紹介をよろしくお願いします。

小川:小川佑太です。デザイナーやってます。デザインのジャンルを絞るのは結構難しいんですけど、立場的にはプレイヤー兼、社長という感じです。

会社をやられてるんですね。

はい、吉祥寺でCrackinという制作会社を経営しています。

どういうジャンルの制作会社なのでしょうか?

ジャンル的にはデジタルを軸に諸々展開する形が得意です。そこから派生して…いや、逆かな? いろいろ作れるチームではあります、中々ジャンルに絞るの難しいですが、それら経緯も含めて後ほど。

ではそちらはまた後で。個人としてはデザイナーということですか?

そうですね。絵はちっちゃいころからすごいずっと好きで、本当に子供の頃は漫画家になりたいって時もありましたね。勉強はあんまりできなかったんだけど、ずっと美術とか、図画工作みたいなやつは成績高かったです。

ちなみに好きな漫画は何のタイトルですか?

ドラゴンボール、ワンピース、好きです。ちょっとベタなんですけど。子供の頃は地獄先生ぬーべーとか、なんか、ジャンプ系多かたっすね。他にも、母の影響で、スケバン刑事とかも読んでましたね。

岐阜県の出身と聞きました。

はい、生まれ岐阜です。

ずっと岐阜だったんですか?

結構転々としてて、関西に住んでるときもありましたし、岐阜の横の名古屋とか、オーストラリアに住んでたりとかもあります。今は東京って感じですね。

オーストラリアは何歳ぐらいの時でしたか?

オーストラリアは20前半ですね。海外の環境でデザインをやりたくてオーストラリアに行って、結果的に英語環境でのデザインの経験や実績がつくれて良かったかなって思ってます。

じゃあ帰国後はデザイナーとして活動されていたんですか?

そうですね。

帰国すぐはアパレルのグラフィックデザイナーとして就職して、OEMのグラフィックを作ったりしてました。そのままもうちょっと領域を広げたくて、Web制作の会社に転職しました。

当時はどういうデザインをされていたんですか?

いろいろです。手法は今もあんまり変わっていなくて、ベースの絵を描いて、それをデジタルでどんどんデザインしていくみたいな感じです。デジタル系の合成っぽいものも作ってましたね。

なるほど。じゃあデジタルと手書きでしたらどちらが得意ですか?

今は両方おなじくらいという感じです。でも、何か作るものに対して手法を変えてます。

寅壱との関わりは、どれくらい前からだったんですか?

寅壱さんとは自分的には縁があって、中学を出てから、ずっと職人系、外仕事してました。ジャンルも大工とか、配管工とか、鳶とか。

おお、職人だったんですね。

実はその時期に親父が蒸発して、家がわりと貧しかったんで学校継続って感じはなかったです。

自分三兄弟の長男なんすけど、親父に本妻がいて隠し子家系とゆうのも、その時期にしりました(笑)
余談ですが、東京に会ったことない腹違いの血縁も住んでるらしいので、縁がある感じもしますね。


で、そういった外仕事を転々としている時期があったので、当時の職人の作業着として寅壱を着ていた…って言いたいんですけど、なりたての頃は高くて着れてなかったです(笑)

やっぱ職人でもグレード高い人が着れてたんで。

寅壱は作業着としては値段は高いとはよく聞きます。

でも最終的にはドカジャンとか超超ロングとかは着てましたね!

そういう意味だと、寅壱からデザインのオファーが来た時はどうでしたか?

ご縁を感じました(笑)
おかげで単純にその頃を思い返す機会は増えました。

仕事的には昨年のビールのラベルと鳶カタログの表紙から始まって、今もう4−5点ほど描いてるかと思うんですけど、和モダンな絵柄が多いですよね。基本的に和モダンって好きなのですか?

和が好きですね。
で、寅壱のデザインなんかはどっちかというと、簡単に打ち合わせしてもらって大まかなコンセプトを伝えてもらってからは、お任せしますみたいな感じでやらせてもらっていて、すごくいいものが出来上がったかなって気はしてます。

デザイナーということですが、アートの領域にも興味はあるのでしょうか?

そうですね。もちろんあります。ただ、僕の中ではアートとデザインの境目って、これなんか、すごい微妙なラインだったりしてますね。

あまりアートとデザインの間に区別はつけていないということしょうか?

はっきりは言い切りませんが、自分からしてみるとデザインもアートも作品としては一つのものじゃないですか。僕的にアウトプットされたものの世界観を作ったり残していくというところにすごい重きを置いているんですよね。何かを作るときに、例えば寅壱さんのグラフィックになっていようが、自分の個人的なアートでいようが、ベースの信念は同じで。

なるほど。それを言語化するのは難しそうですね。

例えば寅壱さんだったらロゴやTシャツやカタログのグラフィックなんですが、寅壱さんのブランドの世界観に合っているなというものを自分の中で咀嚼してアウトプットとして出しているんでけど、どんなデザインであろうと、なんとなく世界観は共通させています。

また個人的にソフビとか好きなんで、自分がデザインしたものをソフビで作ったりと、自分のデザインをゲームで作ったり、3DCGで映像を作ったりしてるんですけど、アウトプットはどんなものであれ、全ては考え方としては自分の中では一緒かなという、ボーダーがないような感じの感覚で作っています。

結構新しい価値観かもしれないですね。

自分としてはずっとこれなので、新しい価値観かって言われると、変わってないなって思ってます。

アーティストとして、とことん自分のためにやっていくっていうところもあるし、クライアントワークも結果的になんだけど、バランスは自分の中でとれる気はしてます。

話は少し変わるんですが、タトゥーや入墨もかなり入ってますよね。和柄もあるし、それこそ西洋のタトゥーからトライバル的なものもありますよね。

刺青やタトゥーカルチャーはずっと好きで、十代の頃から入れ続けてます。日本の和柄だと和彫りの柄、波柄、波切り、もろもろありますけど、そういうのとかはやっぱり自分の好みというか、うん、大好きですね。

結構隙間なく入ってるんですけど、例えば何か個人的な思いとかコンセプトみたいなのあるんですか?

もともとそれぞれに意味だったり、その時の自分の感情を残すというところ、その思考を残すというところとか、色んな意味があって入れてます。最初に入れたら17歳くらいの時に入れて、当時は周りのみんなも和彫りが好きで、自分もそのまま和彫りが進んでいって、19歳くらいの時に背中に短命二郎阮小五っていう柄を入れました。

その後で、デザインのクリエイティブというか、そこらへんにタトゥーが影響をしたのは間違いなくて、いろんな場所にいたりいろんな人に会って、様々なカルチャーがどんどん自分の中でミックスされていきました。

オーストラリアででレダリングっぽい感じのものを入れたりとか、そこからいろんなものが全て、自分の中でもボーダーレスになっていきましたね。

アートとデザインの境目というより、世界観に重きをおく価値観のルーツの気がします。

あともう一つ、さっきソフビが好きだって言ったんですけど、それもやっぱり、自分の思いついた世界観を残していくって手法の一つで、自分の考えた立体物をそのままゲームのキャラクターにするみたいな。

自分でソフビー作ってキャラ作ってゲームにしちゃったのですか?

はい、SAMUZAっていいます。

すごいですね。というかすでにハイブリッドなアートかもです。

それこそ、チームで動いているっていうところの本当に一番大きなポイントなんですよね。

自分でデザインを作って1人で絵を描いて画像でリリースするってことはもちろんベースできるけど、会社でみんな集まって、モデラーと3DCGの構想を話し、プログラマーとゲーム仕様を話し合い、それぞれプロフェッショナルが集まってるんで、自分たちの世界観を作品として出していくことができるのは、チームがあってこそだと思ってます。

自分のアイデアをゲームにするってすごいですね。

ゲームも一例なんですが、映像も然りだし、その他然りで。

なのでチームで人を巻き込んでいって、自分以外の人と作っていく、残していくっていうところは、それこそどんどん可能性が広がっていくので、そういうことをやっぱり自分はこれからやっていきたいなと思ってますね。
みんな同じ方向を見て、会社としては世界に向けて発信していくっていうところを目標にしてます。

なかなか今のデジタルアーティストの中でも、もしかしたら新しい領域になるかもしれないですね。

表現方法としてゲームまで作ったら確かに新しいかもしれないですね!

じゃあこれからどんなものを作っていこうと思って、逆に今作っているものとか何かあったりしますか?

そうですね。今の延長線上っていうところにはやっぱり変わりはないんですけど、まずSAMUZAというゲーム。さっき話した、ソフビからのゲームなんですが、これはタイムアタックの3DCG、タイムアタックレースゲームみたいなところですが、これをまず広げたいなーって考えてます。

他のタイトルとか、自分じゃなくチームメンバーが主体の今仕込んでるタイトルだったりがあるので、その辺もどんどん進めていきたいなという感じですかね。やりたいことはめっちゃたくさんあります(笑)

じゃあ自分のクリエイティブをどんどん世界に出していきたいということですね。

はい、そうですね!ぜひ寅壱さんとも、これから世界で広がっていく話を聞いているのでぜひ一緒に上っていきたいですね。

そうですね。ぜひよろしくお願いします。

はい、じゃあやっていきましょう!

小川佑太(Grack)
株式会社Crackin代表取締役。社長でありながらグラフィックデザイナーとしても現場に立つ生粋のクリエイター。
デザインしたものは全てデジタルエンターテイメントに置き換えれることを信条とし、メタバース、ゲーム、3Dモーショングラフィックを得意としている。
日本の古来からの心情だったり価値観を好み、寅壱の和モダンを基本としたコンセプトとマッチし、様々な作品を提供している。