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The Recommendation from 寅壱 #10 Federico Radaelli

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昨年、自身の初となる写真集「ゴッドサウンドユー」を出版したイタリア出身のカメラマン、フェデリコ・ラダエリ氏。彼の作品は旧車会や、ヤンキーカルチャーのみならず、日本の伝統文化もサブカルチャー文脈から捉え、撮影し、多くのファンや専門家からも評価を得ている。

寅壱でも、2023年に配布された「鳶カタログvol.17」への出演がきっかけ交流が始まった。


インタビュワー(以下 Q) 日本に来てもう結構経つと思うんですが、3年くらいですかね?

フェデリコ(以下 F) そうですね。それくらいですね。

Q 日本に来たきっかけななんかは後に聞くとして、まずはフェデリコの子供の頃の話を聞かせてください。

F 私の子供時代は本当にシンプルで幸せでした。ミラノは文化的に豊かで、様々なサブカルチャーが栄えていました。そんな90年代のミラノで育ち、80年代の好景気のブームの余波がまだ感じられましたが、その衰退も近づいていました。

Q どんな家庭だったのですか?

F 私の家族は勤勉な労働者階級の家庭で、父はエンジニアとして働いており、彼からモーターへの大きな情熱と少しのオタク気質を受け継ぎました。母は幼稚園の頃からですが、学校の旅行に持って行くためのポイントアンドシュートカメラ(コンパクトカメラ)を持たせてくれて、私はバシャバシャと写真を撮っていました。そういうのがきっかけで、スナップショットを撮るのが昔から大好きでした。

Q じゃあ、そのころから芸術にも興味をもったのでしょうか?

F 芸術に関しては、あまり好きではありませんでした。複雑でわかりにくいと感じることが多かったです。私は美しいと思うものや興味を引かれるものに惹かれ、それが好奇心を刺激します。日本には毎日新しい発見ができる深くて神秘的な文化があります。これが日本に移住した理由の一つですね。

Q ちなみに、あなたが昨年出版した「ゴッドサウンドユー(写真集)」はいなたさもありながら、芸術性も感じました。日本での生活そのものの日常生活や出来事が、クリエイティビティーに影響を与えてる印象です。

F  仕事に関しては、かなり衝動的です。興味を引かれるものがあって、それがプロジェクトとして発展できると思ったら、翌日にはその撮影のために出発しています。私のプロジェクトは全て長期的なもので、時間の流れを伝えることが重要だと考えています。なのでどうしても表面的で一過性のプロジェクトは私には向いていません。

Q どのようにして寅壱を知ったんでしょうか?

F 初めて寅壱を見かけたのは、自分が興味本位で訪れた旧車会ミーティングででした。美しく改造されたクレスタを運転していた男性が、背中にチームロゴが刺繍された象徴的な寅壱のドカジャンを着ていました。その後、どうしてもそのジャケットが欲しくなり、寅壱の世界全体を発見しました。

Q 寅壱は作業着なのですが、エンドユーザーが結果的にファッションだったり、そうした日本の車のサブカルチャーとつよく結びついてるケースも多々あります。

F 私にはすごく多様性に富んでるなと感じています。

Q では、寅壱の服はフェデリコに、どういう影響を与えていますか?

F 寅壱の服は私にぴったりです。非常に快適で実用的、そして耐久性があります。ワークウェアやミリタリーウェアは、長持ちし、激しい使用に耐えるように設計された最高のデザインです。

Q 確かに、フェデリコはニッカズボンだったり、超超ロングのようなものを好まれていますよね。

F 仕事のために多く動き回るので、快適さは非常に重要です。さらに、寅壱の服はとてもスタイリッシュで、多くの高級ファッションデザイナーによってコピーされ、参考にされていますね。

Q ブランド名はあげないですけど、そういう話はよく聞きますね。ちなみに寅壱とは何かプロジェクトを行う予定などあるのでしょうか?

F プロジェクトとは言えないのですが、私が撮影したスナップ(ポートレート)なんかは寅壱でも使いたいという話はもらっています。全国を回っているので、ぜひ使って欲しいですね。

Q 今日はありがとうございました。フェデリコの作品をSNSを通じてでも拝見するのを、楽しみにしています。

Federico Radaelli
イタリア ミラノ生まれ。文学・人文科学専攻。幼い頃から、ストリートレースからグラフィティ、新興テクノミュージックシーンに至るまで、いわゆる90年代後半〜2000年代初頭のミラノの多産なアンダーグラウンド カルチャーにどっぷりと浸かっていきました。独学で学んだ写真家であり、複数の大陸にわたる彼の時代の影響を受けたルポルタージュと人類学の研究を反映した、生々しい印象を強く残しています。フェデリコの作品のほとんどは、彼の好奇心と情熱に触発された自己資金によるプロジェクトから来ています。現在は東京に住み、活動しており、数多くの国際的なアート出版物に出版されています。